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店主徒然日記 Master's Diary 店主が綴った何気ない一日。日常にある微笑庵の姿をご覧ください。 写真'紫福' 店主徒然日記
店主徒然日記
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4月  日
【京都 周遊@】

100年以上愛されつづける商いとは。

下記に印象深い和菓子店を紹介させていただきます。

 
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4月  日
【京菓子司 末富@】

◆京都・末富山口富蔵の京菓子読本     中央公論新社(1990/05)<絶版>

◆京菓子歳時記−京菓子司末富の12ヶ月  光村推古書院(1999/11)

◆京・末富 菓子ごよみ              淡交社     (2001/10)

全国に数多くの和菓子屋はあれど、

自店の和菓子を本にして世に問うた店はほんの僅か。

末富さんは、「美味しい菓子を作る・売る」を超え、

その菓子を1品1品撮影し、菓銘を添え、解説を添えた。

開くだけで、京菓子の四季の移ろいを感じることができる貴重な本です。

店に行ってもショーケースひとつないような、

閉鎖的な京都の和菓子屋にあって、異彩を放ったことは容易に想像できます。

その本の中でも極めつけは、

「クラシック音楽」や「クリスマス」といった、

これまで和菓子で表現されていなかったものを、

京菓子の抽象表現で、見事に作り上げたその想像力・表現力の巧みさです。

これは、四季の和菓子の中にも随所に現れ、他店とは一線を画する

「末富イズム」を確立しました。

一目見ただけで「これは末富の菓子!」と感じさせるのです。

凄い。ほんとうに凄い。

また、京菓子を「家庭でも作れる」という視点で、

家庭の道具で作り上げ、詳細に解説をつけたのも、

末富さんが初めてではないでしょうか?

近年「金塚晴子」さんはじめ、主婦の視点で、

電子レンジやフードプロセッサーを使って簡単に和菓子を作る、

という本はたくさん出まわりましたが、

現役・多忙の京菓子職人が10年以上前に取り組んだのです。

これも凄い。

末富の山口富蔵さんは3代目。

京都にあっては、それほど老舗ではありません。

(川端道喜さんは、15代目ですし・・・)

(また、京菓子司を紹介する本でも、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかし、現在京菓子のNo.1ブランドといって良いでしょう。

(高価格「525円」をお客様が納得していることが何よりの証)

老舗ではなくても、No.1になるためには?

それを自分の目で確かめたくて、憧れの末富さんを訪れました。

 

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4月  日
【京菓子司 末富A】

 

  『末富』 の山口ご夫妻と

 「桜きんとん」。絶品。

お抹茶とともに頂戴した和菓子。

ショーケース。菓子もさることながら器も美しい。価格「¥525」は高いか、安いか。

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4月  日
【塩芳軒】

和菓子職人を主人公にしたテレビドラマは数少ない。

NHKの朝ドラ「あすか」は、

女性和菓子職人(竹内結子)を主人公に2000年に放映されました。

この番組では「おかめ饅頭」「なごり簾」など数多くの和菓子が登場しましたが、

その和菓子製作を指導していたのが、

ここ「塩芳軒」の4代目当主・高家昌昭さん。

老舗が軒を連ねる京都にあっても光輝く名店といえるでしょう。

毎年、全国から修行を希望する若者が絶えず、

私が来店した折の店員さんも、四国から修行に来ている青年でした。

また、ここで仕上がった職人さんに名店・名人が多く、

店のブランドに華を添えています。

長暖簾をくぐり店内に入ると、

ショーケースに生菓子が銘々皿に美しく飾られています。

しかし、菓銘もなければ価格もない

(買った後で計算すると、1個400円相当)

長年培ったブランドのなせる技でしょうか。

生菓子を6種買いましたが、どれも美味しく、

京菓子の魅力を堪能できます。

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 町屋の多い西陣でも、とりわけ老舗としての風格を漂わせている塩芳軒の建物。初代当主は高家由次郎。明治15年、菓祖・林浄因の流れを汲む塩路軒から別家し創業した。林浄因とは、中国から初めて日本に饅頭を伝承したと伝えられる人物である。後、明治29年に元聚楽第の一角、西陣に移転し、大正初期に現在の店を構えた。創業以来、主家の塩路軒から伝承した長暖簾を守り続け、その暖簾は今も店先に由緒ある面持ちで掲げられている。

住所:上京区黒門町通中立売上ル飛騨殿町180

電話:075-441-0803

営業:9:00〜18:00

定休:日曜・祝日・第3水曜

http://www.kyogashi.com/

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(「京都の和菓子」・井上由理子著・学研より引用)

  京都の和菓子屋で最も趣のある店構え

 薯蕷きんとん製「さくら」

 羽二重製「桜」

 「本わらび餅」

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4月  日
【嘯月】

「嘯月」のきんとんを食べずして、京菓子を語ることなかれ、と言われるほどの名店。

しかし、その存在はあまりにもわかりにくい。

中心市外から少し外れた住宅街にひっそりとたつ。

タクシーの運転手が知らないところからも想像していただきたい。

やっとの思いで辿り着いても、店内にはショーケースひとつない

こあがりのような店内には、

予約の和菓子が包装されて用意してあるのみ。

完全予約制である。

私も予約を入れて買わせていただく。

たしかに美味しい。

特筆すべきはやはり「きんとん」。

絹糸のように、細くて滑らかなそぼろが特徴。

馬毛製の網の目の細かい裏ごしを通したそぼろを、

餡玉を芯にして絡めていく。

単色・多色どちらのきんとんも、

繊細なそぼろと微妙な色合いとが相まって、

芒洋とした風情を醸し出している。

そこはかとなく華麗な都の四季の彩りである。

ご主人の後藤英雄さんは、

京都府菓子専門学校の校長として後進の指導にも尽力している。

ちなみに「美味しんぼ」56巻にも登場している。

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 「月に嘯く(吠える)虎」という言葉から付けられた店名からもわかるように、初代当主は虎屋黒川で修行を積んだ人物である。独立後、大正5年に店を開く。嘯月は名料亭「瓢亭」の茶菓子も作る。創業以来、「店に商品は置かない」という方針を守りつづけている。いちばん食べ頃の菓子を食べて欲しいという思いから、作り置きは一切せず、注文後、客人が菓子を取りに来る時間を逆算して、ひとつひとつ丹念に作り上げている。

住所:北区紫野上柳町6

電話:075-491-2464

営業:9:00〜17:00(完全予約制

定休:日曜・祝日

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(「京都の和菓子」・井上由理子著・学研より引用)

 名店の誉れ高い「嘯月」

 嘯月といったら「きんとん」。噂にたがわず美味しい。

春の5品。「木の芽薯蕷」「わらび餅」「草餅」「桜きんとん」「牡丹餅」

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4月  日
【紫野 源水】

家庭画報をよく読みますが、そのイチオシの京菓子屋は「源水」さんではないでしょうか。

お取寄せのコーナーにも毎年掲載されているところをみると、

好評だということがうかがえます。

前掲「嘯月」さんから程近く、地図を見ながら歩いて向かいました。

途中、地元の方に道を尋ねたのですが、不知とのこと。

それでも一緒に歩いていると、なんと目の前に「源水」さんが。

地元の人も、興味がなければわからないのが京菓子の名店。

上記「末富」「塩芳軒」「嘯月」、いずれも人通りの少ない住宅街にあり、

タクシーの運転手も知らない、という共通点。

和菓子の業界やお茶の関係者では、知らない人はいない超有名店は、

観光客の多い京都において、観光客を全く相手にしていません。(されていない?)

というか、地元の人でも愛好家以外は縁のない存在。

それでも100年以上続く名店が軒を連ねるのは京都の底力ではないでしょうか。

お客様の途切れがなく、ご夫婦2人でとても忙しそうでした。

生菓子はいずれも美味。

家庭画報では「小豆」にとことんこだわる様子が紹介されていたので、

丹波大納言の一口羊羹「松の翠」を買わなかったのが残念。

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 昭和59年、紫野源水を創業した現当主・井上茂さんは、老舗源水の3男。本家で15年間修行を積んだ後、「自分なりの創作菓子を作りたい」という思いから、店を開いたという。材料にとことんこだわり、手間ひまかけて作り上げる井上さんの斬新な創作和菓子。中でも、岡山産の白小豆を使った水羊羹「涼一滴」は、若い女性を中心に人気を呼んでいる。紫の暖簾がなびく店先からは、いくつものふるいがかけられる作業場を垣間見ることができる。

住所:北区北大路新町下ル西側

電話:075-451-8857

営業:9:00〜19:00

定休:日曜・祝日

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(「京都の和菓子」・井上由理子著・学研より引用)

 「麗衣包」(レインボウ)。源水の名物饅頭。

 「紫」が源水のテーマ・カラー

春の5品。左下の「さくら」の意匠、雑誌「Dancyu」で初めて見た時、感動しました。

今では、微笑庵の「さくら」も源水さんのがモデルとなっております。

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4月  日
【鍵善良房】

なんといっても「くずきり」で有名。

上記の各店と違い、観光客で溢れている。

私は和菓子の食べ過ぎのため、行くかどうか迷いましたが、(笑い)

行って大正解でした。行かなければわからないことがあります。

くずきりは、輪島塗りの豪奢な器で供される。

大きい。我が子の顔より大きい塗りの器。

蓋をあけると、黒蜜のはいった中蓋。

中蓋をとると、大小の氷片を浮かべたくずきりがあらわれる。

一口食べると、まごうことなき本葛の香りと触感。

注文してから作ったくずきりでないと、この味でこの透明感はありえない。

美味しい。しかもボリュームもある。

これをおかわりする水上勉は凄い。(笑い)

確かに、「京の味の王者」を私も見た。

日本の食文化の誇りをこれからも守っていただきたい。

今後も京都訪問の際は必ず立ち寄るだろう。

<注>本葛は非常に老化が早く、特に冷やすとすぐに白濁し、独特の粘りも消る。

    甘味喫茶で「くずきり」のメニューを良く見るが、本葛であることはほぼ皆無。

    ここと、虎屋黒川の茶寮くらいか。

    夏のギフトの定番の「くずきり」も本葛のくずきりとは別物である。

    本葛と葛もどきの違いは、「増粘性多糖類・寒天」を主原料とするため、

    冷やしても全く老化しない。そして無色透明。独特の香りもない。

    美味しい、まずいは個々の判断で異なると思いますが、

    是非本物の葛の味を知ってほしいものです。

    日本の夏の食文化の華です。  

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『くずきり』

 小さい頃、若狭(わかさ)の野山でくずの花をみた。紫色のふさになって咲くこの花は、秋末にはサヤ豆のような果になっていた。京の「鍵善」 にきてくずきりをたべていると、故郷の土の香がするのは私だけであろうか。
 聞けば、「鍵善」では大和のくずをつかっているそうな。しかし、むかしのくずは若狭境の奥山産のがあったともいう。くずは根のつよい植物で、アメリカなどは日本から種子を輸入して、土くずれを防ぐ用に供し、何万坪ものくずの花の咲く山があるそうだ。花はみごとでも、根がおいしくたべられるくずの風雅はアメリカ人のものではない。 これはなんといっても日本の味だ。

 酒好きの私が、「鍵善」の二階へあがって(*1)、あの独特の器に入れてさし出されるくずきりに、舌つづみを打つのは宿酔(ふつかよい)の朝である。蜜の甘さと、くずの淡白さが、舌の上で冷たくまぶれて、つるりとのどへ入りこむ。 あの味は、菰(こも)かむりから出る地酒の特級と同趣で、じつにうまい。うろこのようにかさなって咲く紫の花びらが、たべ終わったのこりの、氷水の面に、うつっているような気がする。私はいつも、二杯目をおかわりして笑われる。

 欅(けやき)づくりの店のたたずまいも、京の「鍵善」の風格にちがいないが、器や卓がいくらこられていても、味がまずければ永続するものではない。日本の山野の土を守った根が、おいしく加工されているからである。文明は山野をいくらけずりとっても、自然の美味はのこすものだ。 くずきりは京の味の王者だと思う。

〜 作家・水上勉 〜

住所:東山区祇園町北側264

電話:075-561-1818

営業:9:00〜18:00

定休:月曜

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 軍配をモチーフにした鍵善さんの包装紙

 生菓子も美しく、美味しい。

この什器を見よ!我が子の顔より大きい。職人の技が光る本漆塗り。

くずきりも美味しいが器にも感動しました。

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