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なんといっても「くずきり」で有名。
上記の各店と違い、観光客で溢れている。
私は和菓子の食べ過ぎのため、行くかどうか迷いましたが、(笑い)
行って大正解でした。行かなければわからないことがあります。
くずきりは、輪島塗りの豪奢な器で供される。
大きい。我が子の顔より大きい塗りの器。
蓋をあけると、黒蜜のはいった中蓋。
中蓋をとると、大小の氷片を浮かべたくずきりがあらわれる。
一口食べると、まごうことなき本葛の香りと触感。
注文してから作ったくずきりでないと、この味でこの透明感はありえない。
美味しい。しかもボリュームもある。
これをおかわりする水上勉は凄い。(笑い)
確かに、「京の味の王者」を私も見た。
日本の食文化の誇りをこれからも守っていただきたい。
今後も京都訪問の際は必ず立ち寄るだろう。
<注>本葛は非常に老化が早く、特に冷やすとすぐに白濁し、独特の粘りも消る。
甘味喫茶で「くずきり」のメニューを良く見るが、本葛であることはほぼ皆無。
ここと、虎屋黒川の茶寮くらいか。
夏のギフトの定番の「くずきり」も本葛のくずきりとは別物である。
本葛と葛もどきの違いは、「増粘性多糖類・寒天」を主原料とするため、
冷やしても全く老化しない。そして無色透明。独特の香りもない。
美味しい、まずいは個々の判断で異なると思いますが、
是非本物の葛の味を知ってほしいものです。
日本の夏の食文化の華です。
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『くずきり』
小さい頃、若狭(わかさ)の野山でくずの花をみた。紫色のふさになって咲くこの花は、秋末にはサヤ豆のような果になっていた。京の「鍵善」
にきてくずきりをたべていると、故郷の土の香がするのは私だけであろうか。
聞けば、「鍵善」では大和のくずをつかっているそうな。しかし、むかしのくずは若狭境の奥山産のがあったともいう。くずは根のつよい植物で、アメリカなどは日本から種子を輸入して、土くずれを防ぐ用に供し、何万坪ものくずの花の咲く山があるそうだ。花はみごとでも、根がおいしくたべられるくずの風雅はアメリカ人のものではない。
これはなんといっても日本の味だ。
酒好きの私が、「鍵善」の二階へあがって(*1)、あの独特の器に入れてさし出されるくずきりに、舌つづみを打つのは宿酔(ふつかよい)の朝である。蜜の甘さと、くずの淡白さが、舌の上で冷たくまぶれて、つるりとのどへ入りこむ。
あの味は、菰(こも)かむりから出る地酒の特級と同趣で、じつにうまい。うろこのようにかさなって咲く紫の花びらが、たべ終わったのこりの、氷水の面に、うつっているような気がする。私はいつも、二杯目をおかわりして笑われる。
欅(けやき)づくりの店のたたずまいも、京の「鍵善」の風格にちがいないが、器や卓がいくらこられていても、味がまずければ永続するものではない。日本の山野の土を守った根が、おいしく加工されているからである。文明は山野をいくらけずりとっても、自然の美味はのこすものだ。
くずきりは京の味の王者だと思う。
〜 作家・水上勉 〜
住所:東山区祇園町北側264
電話:075-561-1818
営業:9:00〜18:00
定休:月曜
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